接触式温度計センサーの原理とは-熱起電力方式
農業・医療・食品や各種製品の製造現場などの各分野では、温度管理を必要としている場所がたくさんあります。日常生活でも部屋の温度を測定したり、体温を測ることがあるでしょう。いずれの装置も正確な温度を測定してから電気信号の形で出力をする温度計センサーが組み込まれています。これは温度(熱)を電気信号に変換するための電子部品で、一般的に用いられているのが熱起電力方式の素子です。
熱起電力方式の温度計センサーの内部は、2種類の異なる種類の金属または金属酸化物が接触する形で組み込まれています。2種類の異なる金属材料から成る熱電対に熱が伝わると、僅かな電位差が生じて起電力が流れるという性質(ゼーベック効果)があります。ゼーベック効果では温度差が大きいほど高い起電力を生じることから、温度を測定することが可能です。熱電対は使用する2種類の金属材料の組み合わせ方により、測定に適した温度領域が決まります。
熱電対を用いた温度計センサーは多くの場面で用いられていて、身近なものでは体温計やデジタル式の室温計などに組み込まれています。産業分野でも多く用いられており、私たちの生活には欠かせないものといえるでしょう。ちなみにゼーベック効果を利用すれば、熱を電気に変換して発電を行うことも可能です。太陽から離れた場所を飛行する惑星探査機には原子力電池が搭載されていて、放射性物質が発生する熱を電気に変換して測定や通信を行います。