非接触式温度計センサーの仕組みについて

一口に温度計センサーと言っても様々な種類が存在しますが、大きく分類すれば接触式と非接触式の2種類に分けられます。接触式は測定対象に触れることで温度を測るため、その仕組みを理解するのは難しくありませんが、対象に触れることなく温度を測れる非接触式はどのような仕組みとなっているのでしょうか。非接触式温度計は、大きく放射温度計とサーモグラフィの2種類に分けられますが、どちらも基本的な仕組みは同じです。これらは、どちらも遠赤外線を検知するためのセンサーが搭載されており、遠赤外線の強弱を検知することで温度を計測します。

遠赤外線と聞くと、何となく暖かいイメージを抱く方が多いかと思いますが、遠赤外線は人間の目で見える可視光と同じ光の一種です。しかし、可視光よりも波長が長いので、肉眼で見ることはできません。また、遠赤外線は熱を持つ全ての物体から放出されており、温度が高い物体ほど強い遠赤外線を放出し、逆に温度が低い物体が放出する遠赤外線は弱いという特性があります。この性質を利用して、温度を計測するのが非接触式の温度計となります。

なお、物体から放出される遠赤外線は、同じ温度であっても材質や表面状態によって大きく変わります。そのため、非接触式の温度計を使用する際は、事前に放射率の設定をしておかないと正しい温度を測ることができません。放射率とは、理想的な黒体から放射される遠赤外線を1とした時の、計測対象から放出される遠赤外線の比率を表すもので、代表的な放射率は取扱い説明書などに記載されています。また、非接触式センサーは物体の表面温度しか測れないという点も念頭に置いた上で使用する必要もあります。

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