HACCPの概要と日本国内での普及
HACCPとは、食品の製造時に安全を確保するための管理手法のことです。Hazard(危害)・Analysis(分析)・Critical(重要)・Control(管理)・Point(点)という言葉の頭文字から作られており、日本語では「危害分析重要管理点」と訳されています。従来の抜き取り検査による安全確認と異なり、食品の製造や出荷の工程で、どの段階で微生物や異物混入が起きやすいかを予測・分析して、被害を未然に防ぐという大きな特徴があります。また食品会社がHACCPを導入する際には、製造工程一覧図の作成・危害要因の分析・管理基準の設定といった、12個の厳格な手順を踏む必要があります。
そして、HACCPは厳しい手順に基づいた合理的な衛生管理方法であるため、「衛生管理に対する社員の意識向上」「不具合発生時の迅速な原因追及と改善対応」「企業イメージや顧客信頼度の向上」など、様々なメリットが期待できます。もともとHACCPは、アメリカ食品医薬品局が缶詰食品の製造基準として取り入れたのが始まりですが、日本国内にもいくつかの認証機関が存在しています。最も有名なものは、厚生労働省が食品衛生法によって定めている総合衛生管理製造過程で、乳・乳製品・食肉製品・容器包装詰加圧加熱殺菌食品・魚肉練り製品・清涼飲料水の6つの製品に限り取得できます。他にも適用の範囲が特定の業界・業種に限られている業界団体認証や、各自治体が独自に定めた地域認定HACCPもあり、さらなる普及が期待されています。